私たちが生まれたことには理由がある。「そうだ、お墓参りしよう。」
江戸中期から続く老舗『俵石材店』が挑戦する、帰りたくなるお墓づくり。
お墓参り問題
「お墓まで遠くて行き帰りに時間がかかる。」
「行くタイミングを伺っているけどなかなか行けない。」
「暗いイメージだから、なんとなく気持ちがむかない。」
大事なことだと知りつつも、ついつい足が遠のいてしまうのが、お墓。
このお墓に、遠方の人や若い人でもお墓参りしたくなるような努力を重ねている石材屋さんがあると聞き訪ねていった。
無口な8代目と気さくな奥さん
千葉・館山で江戸中期から220年続く老舗『俵石材店』。こちらに、お墓づくりに真摯に向き合うご夫婦がいる。
8代目当主で墓づくりの一切を担っているのは俵正成さん。
そして8代目の伝え切れない想いを引き出すかのように、ニコニコと上手にお話を繋げてくださるのが、総務担当の妻、美紀さん。
夫婦とはどこも不思議なバランスで成り立っているものである。
都心から車で二時間ほどに位置する千葉県館山市。
ここでも進学、就職、結婚などの理由で地元を離れる人が年々増加し、市全体では少子高齢化が進んでいる。
そうなると、お墓参りに頻繁に行ける人も少なくなり、中にはなかなか綺麗にされないお墓も出てくる。
距離が遠ければなかなかお墓参りが叶わないのも仕方ない事情にも思えるが、お墓から足が遠のく原因は距離以外にもあるのでは、と俵正成さんは考えている。
例えばお墓のイメージ。
お墓というとどうしても死との結びつきや昔ながらの墓地やお墓のイメージが強く、暗い場所というイメージが強く先行してしまう。
また、風雨にさらされたお墓を掃除をしなければいけない、水を使ったり草むしりをしなければいけないなどの面倒に思う点も、心理的な負担に繋がっているのではと考えている。
「お墓参りのイメージを少しでも変えていきたいんです。若い人たちも帰ってくるのが楽しみになるような、そんなお墓づくりがしたい。」(俵正成さん)
お墓参りを楽しみにしてもらえるよう、常にお墓づくりの新しいアプローチや新製品のリサーチ、考案を欠かさず、良さそうなものがあればまず見に行ってみる。
Glanet collectionの仏花ハーバリウムには、衝撃を受けたそうだ。
「ハーバリウムは以前から好きでいろんなものをみていたんです」(美紀さん)
「妻がハーバリウムをやりたいって言ってたのは知っていたので、ハーバリウムというものは知っていたんです。
ですが、仏前に飾れるこんなにきれいなハーバリウムがあるなんて!と衝撃でした。」(俵正成さん)
「本当に綺麗だね〜」(美紀さん)
お墓づくりってどんなこと?
お墓づくりのステップには、石選び、デザイン、建立というステップがある。
お墓の建立などそうそう機会もなく、知識もない人が多いがどのように決めていくのだろうか。
「うちでは、まず、実際に建てたお墓を見て回ります。
“建つと石の色や風合いはどう見えるのか?” “石は時間が経つとどうなるのか?”
実際に建っているものを見るとお客様の中でも具体的なイメージが湧きやすいですし、石の経年劣化や南房総という潮風が吹く環境での石の変化を見ることができます。
おかげさまで地元でずっとこの仕事をさせていただいており、お墓の実績はかなり豊富にありますので、まずはたくさんお墓をみていただいてから、具体的なお話に入ります。」(俵正成さん)
石材屋さんも無数にあり、ネット上でも安さをウリにするお墓販売サイトもたくさん見受けられるが、そういうところでの注文はどうなのだろうか?
「うちでオススメするのは他の石屋さんの価格より高い石です。
なぜかというと、比較的安い石は柔らかく、水が染み込みやすい石が多いのです。
すぐには出てきませんが、繰り返し雨風にさらされ水がしみ込んだ状態が続くと、石にくっきりと濡れたような模様がでてしまったり、表面の艶が落ちたりします。」(俵正成さん)
安くできるのにはそれなりの理由があり、基礎工事を簡単に済ませてしまったり、石と石をくっつける接着材が耐久性がないものだったりということもあるそう。
お墓の建立は、基礎工事を1〜3日、そのあと基礎が固まるまで3〜7日寝かせ、台が完全に固まったことを確認してから石積み工事に2〜7日して、ようやく完成するもの。
「お墓は10年、20年というような単位の買い物ではありません。しっかり作れば300年もつもの。環境に合ったいい石をしっかり選んで、基礎からしっかり作り丁寧に建てれば、地震にも強く代々引き継いでいけるお墓ができます。
石を選ぶところから建立、引き渡し、そしてアフターケアまで、実績と経験を持って引き継いでいくにふさわしいお墓を提案できるのが、俵石材店です。」(俵正成さん)
お墓づくりにこだわるのには、理由がある。
江戸中期から代々技術を受け継いで来た俵家。
歴代の石工の中でも俵光石は、彫刻家・高村光雲に学び東京美術学校で教鞭もとった人物で、館山市内にも多くの石彫を残しているそう。
技術だけでなく、石工としてこの世に長く残せるものを作ることに誇りを持ち、地元を愛し、仕事を重ねてきた俵石材店だからこそ、提案できる帰る場所としてのお墓づくり。
地元に帰り、家族や親戚と顔を合わせ、昔の話に花が咲く。
そんな小さなことが、自分という人間のルーツを再確認するための大きなきっかけになるかもしれない。
仏花ハーバリウムは、一年中枯れることなく仏前を彩ることができる、新しい仏花の形。
限られたスペースでも置けるサイズなので仏壇のタイプを選ぶことなく飾っていただける。また、手入れも不要なので、生花の水換えや買い替えがご負担であるという方にもおすすめの仏花である。
俵石材店でもGlanet collectionの仏花ハーバリウムがご覧いただけるので、お近くの方はぜひ、ご見学を。
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株式会社 俵石材店
住所:〒294-0036 千葉県館山市館山707
時間:8時~17時(日曜定休)
TEL:0470-22-6702
最寄駅:JR館山駅から車で8分
オフィシャルサイト:https://tawarasekizai.jp/
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TEXT BY MAI
二児の母。トマトを育ててます。