ミモザの日って?ミモザの花が愛される理由と花言葉も紹介
「ミモザの日」ってどんな日?
本記事では、イタリアとフランスで行われるミモザのイベントやミモザの花言葉、ミモザの花がヨーロッパで親しまれている理由などを、在仏20年で現地の慣習に触れながら生活している筆者の視点から解説する。
◼️もくじ
1. イタリアの「ミモザの日」とフランスの「ミモザ祭り」
2. ミモザが大切な人に贈られる理由【ミモザの花言葉】
3. ミモザは春の訪れを告げる「黄金と太陽の花」
◼️1イタリアの「ミモザの日」とフランスの「ミモザ祭り」
「ミモザの日」とは、3月8日の「国際女性デー」の日のイタリアで、男性から女性に向けてミモザの花が贈られるようになったことからこの名がついたと伝えられている。従ってイタリアでは「ミモザの日は3月8日」となっているのだが、これは海外のどこの国でも同じというわけではない。
たとえば「ミモザの日」に該当する英語を探すと「International Women’s Day(国際女性デー)」となっていて、このなかに「Mimosa(ミモザ)」の単語は見当たらない。アメリカでは5月に「National Mimosa Day」という日があるが、これはミモザの花とは関係なく、シャンパンとオレンジジュースを合わせた「ミモザ」という名のカクテルにまつわるイベントのことを指す。
ところ変わって、イタリアに隣接する南フランスのコート・ダジュールでは毎年2月に「ミモザ祭り」があり、2019年は2月20日から27日の8日間にわたっての開催となる。ミモザの花を中心に、春の花でデコレーションされたカラフルな山車によるフラワーパレードがあったり、「ミモザ・ルート」と呼ばれるミモザが咲き乱れる南仏の街道を散策したり、ミモザの花のエッセンスを使った香水作りのワークショップが開催されたりと、どこまでもミモザが満喫できる内容だ。この祭りでは毎年800万本ものミモザの花束が出荷され、約6万人の人々が訪れているという。
ミモザ祭りが開かれる南仏コート・ダジュールの街、マンドリュー・ラナープル
(Mandelieu-la-Napoule)は、ニースから約36km西の距離の海沿いにある。ここはミモザがこの地に入ってきた19世紀から20世紀初頭に掛けて、ミモザの栽培と出荷によって経済的利益がもたらされてきた街なのだ。
その後1929年の寒波による打撃を受け、その年はミモザの出荷が不可能になってしまうが、2年後には見事復活して栽培を再開。これをきっかけにこの街で最初のミモザ祭りが開かれるようになる。
イタリアで3月8日にミモザを贈る習慣が始まったのは、第2次世界大戦終戦直後の1946年から。南フランスでミモザ祭りが開催されるようになったのは、1931年。実に70から80年もの間、またはそれ以上の歴史とともに、ミモザの花がヨーロッパの人々に親しまれてきたことがお分かりいただけるだろう。
それではなぜ、イタリアやフランスでミモザが長きにわたってこれほどまでに愛される存在となっているのか考えてみたい。それはもしかしたら、ミモザが持つ花の意味に隠されているのかもしれない。
◼️2ミモザが大切な人に贈られる理由【ミモザの花言葉】
ミモザの花言葉は「安全(セキュリティー)」、そして「愛」。フランスでミモザは「私がどれほどあなたを愛しているか、誰にも分かりはしない」という意味をこめて、母親や祖母に対して贈られることが多いようだ。
そしてその鮮やかな黄色い花の色は太陽をイメージさせ、厳しい冬の寒さに耐えてきた人々の心を明るく照らす「冬の太陽」としても親しまれてきた。同時にミモザは「優雅さ」や「優しさ」そして「友情」を象徴する花としても広く浸透し、イタリアでは恋人同士だけでなく、息子から母親へ、男性店主から女性客へと贈られる花にもなっている。
国際女性デーのシンボル的存在となった1946年以降は、厳しい寒さの残る2月に花をつけることから、その一見はかなく見えるミモザの花に隠れた「活力(エネルギー)」を感じ、注目されるようになる。ミモザの花は、しなやかな女性の強さの象徴でもあるのだ。
ミモザの放つ芳しい香りはフランス人に愛される要素のひとつで、イヴ・サンローランの「YSLパリ」、ジバンシーの「アマリージュ」など、有名メゾンの香水の原料として採用されている。
◼️3ミモザは春を待ちわびる人々の心を照らす「太陽の花」
ミモザの花がフランスや欧州で愛されている理由をまとめると
・鮮やかな黄色と丸い形が、春を待ちわびる人々に「太陽」をイメージさせる
・「愛情」のほかに「友情」の意味があり、贈る相手を限定しない
・はかない姿に隠れた生命力の強さが女性の姿にたとえられる
・有名メゾンの香水として人気の芳香さ
・価格的に手が届きやすく、親しみの持てる花であること
「ミモザの日」にイタリアで男性から女性にミモザの花を贈ることは日本でも知られつつあるが、同じヨーロッパでもところ変われば習慣も変わる。ミモザはフランスで「黄金」や「太陽」を象徴する花として、春の訪れを告げるイベントの主役に位置づけられているのだ。
寒い日はまだ続くが、大切な人への愛と友情の印にミモザの花を贈り、春を先取りしてみるのはいかがだろうか。
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